外角一杯の棒球

ペドラザです。お笑いをやっています。たまにこっそりと更新します。

漫。

漫才が好きだ。

 

いつからだろうか。

最初は、習い事のスイミングスクールに行く前に見ていた吉本新喜劇からお笑いに入ったのは覚えている。

どっちかといえば新喜劇が好きだった。

漫才は、そんなに興味がなかった。

いつの間に、好きになったんだろう。

 

ただ、ZAIMANルート33キングコングビッキーズを見てめちゃくちゃ笑っていたことは覚えている。テレビ大阪の漫才番組で見た、いとしこいしやティーアップテンダラーの漫才も好きだった。大笑いするのは、いつもテンポの速い漫才の方だったような覚えはある。

 

小学5年の頃にはM-1グランプリが始まった。

僕はこの大会に魅力された。真剣にお笑いを競い合うことによって生まれる面白さが最高だった。

 

中学ごろになると、笑いの金メダルエンタの神様といったネタ番組が多く始まった。

この頃から、自分の中で「嫌いなお笑い」の

ジャンルが出てきた。中二病という言葉があるくらいだ、お笑いに対して反抗したかったんだろう。リズムネタや歌ネタ、露骨なキャラ頼りのネタをめちゃくちゃに嫌うようになった。

 

中3の頃からは爆笑オンエアバトルを本格的に見始めた。無名の芸人でも、こんなに面白いんだ、と毎週涙を流して笑っていた。と、同時に、人気だけが先行してネタの内容が面白くない芸人を更に嫌うようになった。この「お笑い中二病」とは、長い付き合いになる。

 

高校になると、自分でネタを書くようになった。「自分は面白い」「自分には才能がある」

そう思い込みたかったし、望まない笑いの取り方でクラスメートを笑わせていた当時の自分への反抗だったのかもしれない。

先日、この当時のネタ帳を見つけた。

【レストランのネタ】

「ハンバーグのソースなのですが、和風、洋風、痛風のどれにされますか?」

「一個病気入っちゃってるよ!」

 

当時からアンタッチャブルの柴田さんのツッコミがNo. 1だと信じて疑わなかったので、大阪人らしからぬ標準語ツッコミが記されていた。

こんなベタなネタを好きだったのにな、と少し哀愁を感じた。

そもそも、高校時代の自分には漫才をできるほどの勇気も人望もなく、クラスの人気者が文化祭で漫才をするのをただ見つめるだけだった。

この頃から、深夜のお笑いラジオにもハマるようになった。

 

そして大学に入るとともに、少しお笑いからは離れることになる。

理由は色々あるが、結局はカッコつけたかったんだろう。面白い、と思われないように必死だった。髪も染めたしコンタクトにもした。まぁ結果的にそこそこモテたが、「つまらない」という理由ですぐフラれることが多かった。

そりゃそうだ、カッコつけてろくに喋らないんだから。

かわりに、プレゼン能力と発声法を身につけた。これで、台詞さえあれば人前でそれなりに話すことができるようになった。

 

そして、社会人になった。

プレゼン能力と発声法だけでは太刀打ちできない仕事、フリートーク力が求められる飲み会、

完全に「面白い人が強い」場であった。

大学時代にM-1グランプリが終了し、そこからお笑いをあまり意識していなかった。相変わらず、ラジオは聴いていたが。

 

悩みだけが増えていき、結婚はしたもののうまくいかず、別天地に住み職場からも遠くなり…

全てうまくいかないときに救ってくれたのは、ラジオと漫才だった。

 

長くなった通勤時間に深夜ラジオや漫才を見聞き漁り、日々の癒しを求めるようになった。

M-1グランプリの復活とともに、漫才への情熱が帰ってきた。しかし、それは当時のものとは少し形が違うものだった。

 

「漫才がしたい」

M-1グランプリに出たい」

 

別居、離婚を経て荒みきってる自分を救えるのはお笑いしかなかった。色んな形の漫才が好きになった。好きになってから20年近く経つと、漫才の形も多様化していた。ますます魅力を増した姿に、魅せられた。

 

そして今年、お笑いを始めた。

いざ、始めてみると見えてくるものはある。

自分が何をやれば、どう言えばウケるのか。

どういうお笑いがしたくて、どういうお笑いが

したくないのか。

 

憧れのM-1グランプリの舞台にも立った。

二回戦で敗退した。

思ったよりも現実は厳しい。

マチュアとプロの間には、ネタや笑いの量以上に大きな差がある。その壁をアマチュアがどう埋めるか、そこを探求していくことに価値がある。

 

もちろん社会人を続ける。

けど、漫才に手を抜くつもりはない。

全力で研究し尽くし、やれることはなんでもやる。自分の面白いと思うことを伝えられる方法をぶつけ続ける。

 

なぜ、ここまでするのか。

理由はひとつ。

 

僕は漫才が好きだからだ。